約150年前の明治に70万部も売れた名著を教育学者の斉藤孝さんが現代語訳され、スッと入ってくる内容です。
訳者は「学問のすすめ」は現代を生きる我々にも読む意義が十分にあると力説されてます。
まず男尊女卑の色濃い明治下で福澤諭吉は女性に不公平な社会を徹底的に不合理な事だと批判し、現代のSDGs的な情勢を見極める目を持ってるところは意義深いです。
またAIなどの技術革新で仕事しなくても済むような現代を福澤流に言えば「衣食住を得るだけでは蟻と同じ」とバッサリ斬り「独立の気概ない者は、必ず人に頼るようになり、その人を忘れ、へつらうようになる」と説き、生活維持するだけではダメで社会参加の意識は必要なことを明言してます。
さらに現代のSNS社会において福澤流に言えば「交際」ということになり「関心を様々にもち偏らず色んな人から刺激を受けながら、多方面で人と接しよう」と説いています。
最後に翻訳者斉藤孝さんの解説として福澤諭吉の言葉は、学校の教科書とは違い一個人が責任をもって自分の声、体ごとで表現されている。
また温かさと迫力があり親しみがもてる文体は権威を振りかざさず、美辞麗句を嫌い論理的。さらに人柄はざっくりとして快活、保身や嫉妬なく、是々非々で物事を考える本質を見極める「筋力」があると評してます。
読めば読むほど現代版ビジネス書としても捉えられる一冊です。